丸太小屋の四季 その5
冬の夜のひととき
一昨日、私たち夫婦が寂しく棲息していないかと、死んではいないかと、様子を見に来てくれる連中がいる。それは淡路に仮寓を求めてからの定例になっている。
皆、同じ会社で育った人間だ。
このサロンの創始者が逝って、もうすぐ7年になる。
昔、三宮のスナックで彼女と同席して呑んでいると周りの人から「タカラヅカの方ですか?」と、よく声をかけられていた。美人薄命そのまゝに、私たちを残して早々と逝ってしまった。
今夜の酒宴のお供は鍋二種類とその前菜(オードブル)。
酒はチビリ・チビリと呑む一人酒も、それなりの趣きはあるが、どこか切ない。
おお勢でテーブルを囲み、手料理に舌鼓を打ちながら、気の置けない連中と、笑いに興じて呑む酒、これにすぐるものはない。
メンバーの一人にワインスクールに8年間通っているソムリエ級の女性がいる。今夜はじめて、ワインの美味しい飲み方のレクチャーを受けた。何で今まで隠していたんや!
いつ果てるとも知れない宴会は深夜に及んだ。

投稿者 愉悠舎 日時 2012年2月13日 (月) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
春の気配
夜来から今朝にかけて雨が降った。風まじりの雨が止むと、少し春らしくなって来た。心なしか吹く風もなまぬるい。今日、九州北部と山口県それに四国で例年より遅い「春一番」を記録した。近くの和歌山県と徳島県で日中の最高気温が20度を超えた。
「関西の春はセンバツから」、もうすぐ甲子園に球音が響く。その大会に淡路島の洲本高校が21世紀枠で出場する。1995年の阪神・淡路大震災の前後に淡路島で生まれた選手が主力を担っている点が評価されての出場だ。兵庫県の公立高校にとって甲子園は近くて遠い。
洲本高校の健闘を祈る。
昔聞いた話によると日本の各県には「県の音」というのがあるらしい。兵庫は「甲子園の球音」、ちなみに大阪は「ソロバンを弾く音」、京都は「舞妓さんのコッポリ」。
淡路の景色にも春の気配を感じる。
望楼から見る風景も、冬枯れの灰色から少し色彩を帯び始めている。春はすぐそこにやって来ている。

投稿者 愉悠舎 日時 2012年3月17日 (土) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
波光きらめく

春が確実にやって来た。
朝、デッキに佇むと、射光を浴びた光の珠が波間に揺れる。揺れながら戯れる珠の群れは真珠のキラメキに似て目に眩い。
海面(うみも)を撫でてやって来る微風も心地よい。
春とともに鳥たちも賑わいを見せる。雑木林の小枝を揺するメジロの数がめっきり増えた。忘れずにいつもやって来る鳥たちに感謝。
雑木林に新芽が息吹き始めた。アカシヤがクヌギが緑に染まる日も近い。
巡り来た春は人の世も奮い立たせる。
21世紀枠で<センバツ>に出場した被災地・宮城の石巻工業が甲子園に躍動した。負けはしたが、被災地に春の兆しを運んだ。被災地の人々は希望の春に涙した。
春は人の世にも訪れる。ひとしく・・・、そして温かく・・・。
浮き立つ春がやって来た。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年3月22日 (木) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
アカシアを倒した低気圧

先日、列島に吹き荒れた暴風は丸太小屋をも揺すった。
春の陽気に誘われて望楼下の林を点検した。
ニセアカシアの木が一本息絶えていた。老木とは言えアカシアの根は風に強く、海岸や斜面にむいた木であった筈なのに、周りの木々たちに先立って倒れた。根は強いが木の枝は風に弱く、冬になるといつも小枝が家の周りに散乱し、もろさを露呈していた。枝の弱い分、しっかりと根を張り、周りの木や草花を寄せ付けなかったのに、・・・老いには勝てなかったのか?
木は北に向かって倒れていた。不意に襲ってきた強い南からの風に、備えをアカシアは怠っていたのかも知れない。
アカシアが倒れた日、近くの友が島に秒速40メートルを超す風が吹いた。
「前線を伴った低気圧の通過に伴い、和歌山県では、けさから南よりの非常に強い風が吹き、和歌山市の友ヶ島(ともがしま)では、きょう(3日)午後1時過ぎ、41・9メートルの最大瞬間風速を観測しました。(和歌山放送ニュース)」
倒れたアカシアの下方で山桜がほころびていた。

投稿者 愉悠舎 日時 2012年4月 9日 (月) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
たゆたう海辺の丘に桜咲く

この時期、大阪湾は薄もやに包まれる日が多い。もやの中で陽光が海面を赤く染める。染まる海面に海苔棚が浮かぶ。
淡路島は海苔の養殖が盛んだ。
小船が海苔棚の端を持ち上げ、棚の下を進みながら海苔網を引き上げつつ海苔を採取して行く。
秋から春までのあいだ、養殖・採取作業が行われる。(下の写真の左に見える少し大きなモノが採取船)。
ここは淡路島の塩尾(しお)の沖、数ある淡路島の海産物の一つに板ノリがある。
海苔棚はこの絵の左に幾つも横たわっている。まもなく採取作業も終り、この辺りの岸寄りに赤潮が時々発生する。
海苔漁が行われている海辺の丘に桜が咲いた。

この日神戸でソメイヨシノの満開が報じられた。ここ海辺の団地の桜もほぼ咲きそろった。団地が開発されたときに植えられた桜は順調に育ち、今花道となって華麗な姿を誇っている。
桜の花に身を預けると、人は何かを懐かしむ。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年4月12日 (木) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
アカシヤの咲く頃

移ろい過ぎ行く季節の早さに戸惑う時がある。
もうアカシヤの花が咲き始めた。
わが郷のそこここに、アカシヤの樹が植わっている。正確に言えばニセアカシヤなのだが、白い花を咲かせるニセアカシヤをアカシヤと呼ぶ人が多い。ニセアカシヤにアカシヤの座を奪われ、黄金色の花を咲かせるアカシヤはミモザと呼ばれ親しまれている。

私の裡(うち)なるアカシヤは白い花を咲かせている。アカシヤの咲く季節がやって来ると私の心はしばし大連に馳せる。
かつての「アカシヤの大連」の、僅かに残る並木道に、甘い香りのただよう大連を。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年5月10日 (木) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
朝の紀淡海峡

午前5時半、陽が昇り始めた大阪の空から和歌山方面に目を移す。
朝の紀淡海峡に陽光が迫る。
波のうねりが淡路島に朝を告げる。
海峡を渡る風は心なしか少し涼しい。
毎日繰り返される人間の営みに幸いあれ!
投稿者 愉悠舎 日時 2012年8月 9日 (木) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
晩秋の夕暮れ

こんな日の夕暮れは、若くして逝った人たちのことに思いを馳せる。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年11月26日 (月) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
色づく郷に消えるアカシヤ
往く秋を惜しむ木々たちが色づいている。


この郷では、モミジやカエデのような色鮮やかな紅葉は目に付かないがハゼの木たちが常緑樹に交じり合い重なり合って季節の移り目を奏でている。
雑木林に埋もれる我が家はその恵みも多いが、当団地の開発時植えた、ニセアカシヤの木に悩まされている。
この秋、我が家の前庭に棲息するアカシヤを伐採した。
北米で生まれたアカシヤは旺盛な繁殖力により在来の木々が育たず、近年日本では排除の方向に進んでいる。
私はアカシヤの白い花に愛着を抱き続けている。梅雨時に匂いくる甘い香り、歌や文学に詠まれた切ない叙情に響き合うものを感じていた。
そんなアカシヤであるが、これ以上成長すると私ひとりの手に負えなくなる。近年、大きくなった枝が風の強い日、我が家の屋根や隣家の壁を叩きつけ、このまゝま放置しておくと大事に至る恐れがある。
10mを超す高さに成長した3本のアカシヤを切り倒すのは難儀で危険な作業だった。
チェーンソーを使って切るのだが、万一倒れる木がわが身に襲いかかってきた場合、被害を少なくするため、なるべく切り倒す量を軽くしなければならない。根本より離れた高い位置にソーを当てるべく物置小屋に上がり、木屑が目に入らぬようゴーグルをつけ、枝が分かれている部分に安全ベルトを引っ掛け腰に締め、ヘルメットをかぶり安全性を確保する。
倒す方向を見定め、その方向にソーを当て3分の1ほど水平に切り込み、次にソーを45度に立て切り込み、先ほどの切り込みの端に合わせ木片を削り取り、口が明いた状態にした。
こうすることにより木の倒れる方向が定まるとともに、反対側からソーを入れた場合、ソーに木の重みが掛かりチェーンソーが機能不全に陥るのを防ぐことが出来る。
無事切り倒した木を先の方から細かく切り刻み、運搬用に使っている古い車に木を乗せ、近くの処理場に棄てた。
丸太小屋の前庭はスッキリしたが、何か物足りなくなった。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年11月28日 (水) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
薪ストーブの火入れ

寒い冬がやって来た。
今日はことのほか冷える。
この一ヶ月、灯油を燃料とする温風ファンで暖をとっていたが、部分的にしか温まらないので、ファンの傍を離れると、今夜のように冷え込むと少し辛い。
今シーズンはじめて薪ストーブに火を入れた。
18時に点灯したとき部屋の温度は13.5度、一時間ほどすると温度は3度上昇した。
現在の時間は21時、最後の薪1本を加え、温度を測ると18度、これで今日は終了するが、一度温まった室内は急に冷えない。
あと数時間は大丈夫だ。
ちなみに、21時の気温は3度(神戸)と真冬なみだ。
この冬、薪ストーブの世話になる回数が増えるだろう。
投稿者 愉悠舎 日時 2012年12月 8日 (土) 丸太小屋の四季 | 個別ページ