丸太小屋の四季 その1
過去ログ倉庫から「丸太小屋の四季」を転載
前景(全景)

丸太小屋のあるこの地は元果樹園であった。
15年前にリゾート地として開発された。
自然のすがた残して造成しているため、雑木林が多く残る。
それぞれの家々の多くは傾斜面にたたずんでいる。
蛇行をしながらゆるやかな坂道を上りきったところに丸太小屋はある。
小屋はP&B(ポスト&ビーム)と呼ばれるログハウスである。
P&Bとはポスト(柱)とビーム(梁)に丸太材を使用した建物で建築工法は軸組み工法になる。
・設計:奈良市 竹村建築設計事務所
・施工:三重県 鳥羽市石鏡 ログ・リゾート(有)
・設立:1999年9月
投稿者 愉悠舎 日時 2006年1月31日 (火) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
テーブル&チェア

勤め人だった頃、会社の知人(KKさん)に頼んで造ってもらったのが、このテーブルと椅子である。土、日曜日の休日を利用し、神戸で材料を買い込み、二日間かけて仕上げた。
以来テーブルと椅子はこの場所にあって、私たちの暮らしを見守ってくれている。
ここで気の置けない連中とテーブルを囲み、バーベキューを食しながら、談笑に興じるのが楽しみのひとつになった。
そのバーベキューコンロであるが、まだテーブルが生まれてない愉悠舎ができた頃、知人(ODさん)が「バーベキュー、やろか」といって、買ってきてくれた。
テーブルを造るとき、コンロをテーブルの下に収まるように造った。そのコンロも使いつぶし、現在二代目のコンロが活躍している。
ここは風が強い、強風のため椅子が何度も何度もデッキ上を転びまわった。ときには背もたれの部分や、脚の一部がはずれることもあった。補修をしながら今日までもっている。
テーブル寸法
天板:1220mm×1100mm、板厚さ;38mm、高さ;648mm
長椅子寸法
腰掛:1220mm×380mm、板厚さ;38mm、高さ;430mm
投稿者 愉悠舎 日時 2006年4月26日 (水) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
職人の技

デッキに7本の柱が建っている。一本一本の先端に鉄板で造った帽子がかぶさっている。このキャップの製作者Aさんは八十を超えるが今も元気で、神戸のあちこちに出没している。
Aさんは、私の連れ合いが働いていた職場の大先輩である。大先輩は会社に入って、造船現場で働いた。パイプを加工する「銅工」の職人として腕を磨き、その後船のエンジン室を設計する「機装設計」に移り、会社生活最後の職場となった「造船購買」で私の連れ合いと知り合った。船造り一筋の稼業を定年で退職するまで続けた。
退職したあと、銅細工とでも言おうか、銅線や銅板を使った室内装飾品を趣味として手がけ、かつて共に働いた仲間に贈ることをよすがにしている。
そのAさんが愉悠舎に来たとき、デッキの柱に防水用キャップを取り付ける話がでた。このまゝでは雨水が木の割れ目から浸透し劣化を早めるので策を講じよう、ということになって早速作業に取り掛かった。
柱の形状は一本一本それぞれのかたちを持っている。柱の上に紙を置いて、鉛筆で柱の縁をなぞり型紙を作った。Aさんはそれを持ち帰り、型紙通りにカラー鉄板をカットし、その外縁にスカートをハンダ付けしキャップを造ってくれた。
二週間ほどして、七つの作品を持ってAさんは愉悠舎にやってきた。一つ一つの柱に一つ一つの作品を設置した。
寸分たがわぬ正確さに脱帽。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年5月 7日 (日) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
花咲く野

愉悠舎の前面に庭を造っている。樹を少々と季節の花を咲かそうとして10坪ほどのスペースを設けたが、愉悠舎創設以来6年を経過した。しかしながら、見栄えのする「ガーデン」にはほど遠い。
愉悠舎は雑木林だったところを家屋が座る部分だけ伐採させてもらい、そこを人間の棲む場所にした。
その遠慮があるので人間が生活するのに必要な部分以外は雑木をそのまゝにしている。おかげで毎日入れ替わり立ち代り小鳥たちがやってきて、私たちの目と耳を楽しませてくれる。夏になるとクヌギの樹にクワガタの姿をよく見かける。春にはいっせいに昆虫たちが活動を始める。
そんな雑木林の延長にあるスペースを人間が潰してしまっては申し訳ない、などと変な理屈をこねて手をかけないでいる。実のところはガーデニィングの才覚がないだけだ。
そこで連れ合いの登場となる、ここは現在彼女の聖域となっている。私がここをさわれるのは彼女の指示で雑草を抜くときだけである。
彼女のこのスペースに寄せるコンセプトは「自然のまゝに」である。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年6月 3日 (土) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
小屋周辺を俯瞰する
撮影機関:国土地理院、 撮影日:2000/5/29、
形式:白黒、 撮影高度:4,700m

高度4700mの上空から観た我が団地の周りである。
海岸に沿って国道28号線が走り、国道に寄り添ってこんもりとした山が広がる(黒っぽい部分)。その中ほどを我が団地が占領している(黒っぽい中ほどの白い部分)。
団地の専有範囲が約34万㎡ということなので、甲子園球場の8倍強の広さになる(甲子園の面積39,600㎡:グランド面積14,700㎡、スタンド面積24,900㎡
で、だいたい200m四方になる)。ちなみに海に添った小山の沿道部分の長さは約2km、奥行きが1kmあり、面積にすると約200ヘクタールある。これは平均的なゴルフ場二つ分の広さになる。団地が34ヘクタールなので黒い雑木林の約1/6が我が「海平の郷」である。
高度を下げてみよう、愉悠舎は下の写真の右下にある。

ここから神戸、大阪、和歌山を眺めながら棲息している。
「アジサイの巷に雨の降るごとく・・・」、鬱陶しい梅雨はまだ暫く続きそうだ。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年6月23日 (金) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
窓から

関西の梅雨明け宣言はまだなされていないが、夏本番の到来を思わせる暑さと青い空がやってきた。
関東から西が猛暑に襲われ、高知県の須崎市で38度を超えたと、ニュースを読むアナウンサーが、空調のきいた部屋から涼しげな顔をしてテレビ画面に向いている。
愉悠舎は東南の方向を向いて建っている。その方向にデッキがある。デッキの先に回廊が伸びており、その向こうに友ヶ島が横たわっている。
今日は友ヶ島のうしろに住友金属和歌山工場の煙突が、その右に住金海南工場の二本の煙突が、左に目を転じると関西電力多奈川発電所の煙突を覆う鉄塔が聳えている。さらに左を見れば関空の対岸にある「りんくうゲートタワー」が空に突きでている。この光景が見えだすと梅雨も終りだ。
愉悠舎の東南に面した大阪湾から紀淡海峡を見下ろすように窓がある。吐出し戸の上に四角形と三角形の窓が左右対称に、それぞれ一つずつ合計四つ、壁をくり抜くように取り付いている。この窓越しに見える風景を撮ってみた。
これらの窓は二階の高さにあたるので、愉悠舎の二階ともいえるロフトの廊下より写した。この窓から見える景色を私は気に入っている。
夏休みに入った子供たちや、しばしの休息を楽しむ人々で、まもなくこの時期この郷は、賑わいを見せはじめる。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年7月29日 (土) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
ニセアカシア

15年前当地が開発されたとき、成長が早く枯れ落ちた枝葉が他の植物の栄養になるということで、10センチほどのニセアカシアの苗をこの地一面に植えたと、当時植栽した造園会社の人が教えてくれた。
愉悠舎が建ったとき、このニセアカシアはまだ小さかった。それがいつの間にか10メートルほどに伸びている。この暑い時期にも新しい葉が生まれている。写真からも薄い黄緑色をした新緑が確認できる。
ニセアカシアはハリエンジュ(針槐)ともいい、北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木で30メートルの高さになるのもある。日本でアカシアといえば、一般的にニセアカシアを指す。
ニセアカシアを最近、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(「外来生物法」)の特定外来種に指定し、ニセアカシアを駆逐しようとする動きがある。理由は植物の生態系を侵す「とんでもないやから」ということらしい。
ニセアカシアは生命力が強く、ほかの植物の成長を阻害するアレロパシーという物質をだしているらしく、他との共生よりも他を排し、自らの領域を広げて行くので、ほかの植物の成長にとって悪影響を及ぼすから駄目らしい。
一方、ニセアカシアは大気を汚す二酸化窒素を吸収する能力が高く、土中のPCBを分解する能力も高いということが判明してきているらしい。
地球環境の悪化が叫ばれている現在、ニセアカシアを日本から駆逐する方向にのみ進んで行くのはどうかと思う。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年8月 3日 (木) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
トベラ

回廊を大阪湾に向って三分の一ほど行った左下にトベラが自生している。
敷地内に生えているトベラはこれ一本である。
東南アジアの熱帯地方に群生する植物を彷彿させる葉をしている。雑木林のなかで、この樹だけが浮いている感じを受けるのはそのせいであろう。(2006.08.05 撮影)
トベラを岡山理科大学にあるホームページを拝借して紹介すると、
トベラ Pittosporum tobira (Thunb. ex Murray) Aiton (トベラ科 トベラ属)
トベラは本州の岩手県以南から台湾にまでの海岸に分布する常緑低木で樹高数mになる。海岸の崖地などに生育するが、乾燥に強いことから庭園や公園、道路の緑化帯などに広く植栽されており、内陸の森林中にも稚樹がみられることもある。新葉は美しいが、さび病に冒されやすく、古い葉は黒くすすけてしまいがちである。潮風の当たらぬ場所では、葉の病気が発生しやすいのかもしれない。葉は互生であるが、枝の先端に集まるので輪生のように見える。基部が次第に細くなる狭卵形で、鋸歯はない。雌雄異株であり、4月から6月にかけて白色から淡黄色の花を咲かせる。果実は秋に熟し、3つに割れて中から赤い粘液に包まれた種子がのぞく。和名の由来は、樹木全体に悪臭があり、とびらに刺して魔よけにしたことからという。
(岡山理科大学 総合情報学部 生物地球システム学科 植物生態研究室「波田研」HPより)
潮風がトベラにとって良いとあり、この地に向いた植物なのだろう。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年8月 5日 (土) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
ヒサカキ

ヒサカキは愉悠舎に散在している。
雌雄異株の常緑性低木で、ここでは他の樹木に埋もれて目立たない存在である。
ヒサカキの名前はサカキ(榊)にあらずから「非サカキ」とも、サカキより小型であることから「姫サカキ」とも言われているそうだ。
ヒサカキは雑木林や山里で伐採される代表格にされており、樹木の受難を背負って立つ悲劇の樹木であるが、切られてもすぐに芽を出す強い生命力を持っている。
庭の生け垣によく利用されているので、いつでもどこでもよく見かける樹である。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年8月20日 (日) 丸太小屋の四季 | 個別ページ
クヌギ

クヌギはクリニギ(栗似木)という意味で、栗のような葉をつけることに由来していると言う説もあるらしい。漢字は「椚」、「櫟」及び「橡」が充てられている。
クヌギは雑木林の代表格として、永く人々の暮らしに寄与してきた。
里や里山のクヌギは薪や炭として暖房や炊事に使われてきた。それから、落葉広葉樹であるクヌギは落とした葉をたい肥として使える。また、シイタケ栽培の「ほだ木」としても重宝がられてきた。クヌギの木質は堅く、船舶などの建築材・器具材にも使われる。まだある、樹皮や総苞は染料や皮をなめすときにも使われる。
クヌギはドングリと呼ばれる実をつけ、他のドングリに比べて丸くて大きいのが特徴である。
クヌギはブナ科の落葉広葉樹で、東北地方から九州にかけて分布し、さらに朝鮮半島、中国、ネパールにも生育する。
夏、ここにカブト虫やクワガタが遊びにやってくる。
クヌギに似た木にアベマキとコナラがある。アベマキは葉の裏が成熟すると毛が残り緑白色で樹皮も浮いた部分が少ない。ここに在る木の葉裏は緑色で毛もなく、樹皮も浮きでており、アベマキではないようだ。コナラはどうであろうか、コナラの葉の基部はまるく、先の方も太い。鋸歯は鋭く、裏面には毛がはえ、白っぽい。これに比べて我がクヌギの葉は根元側と葉の先の太さに極端な違いがなく、裏面に毛もなく白っぽくもない、したがって、自信はないがクヌギと思っている。
私は、「くぬぎ」という言葉のひびきが好きである。
投稿者 愉悠舎 日時 2006年9月 8日 (金) 丸太小屋の四季 | 個別ページ