小春日和の秋の一日、北条鉄道に乗って短い路線であるが途中下車しながら往復した。秋色の播州路は短い陽射しを浴びて照り返っている。
ディーゼル音を聴きながら遠い日に還る。
1949(昭和24)年、GHQ占領政策の食糧統制が順次廃止。 廃止される前、配給券を握りしめ近所の配給所に黒パン(ライ麦パン?)を受け取りに通った日々が記憶の始まりだった。 ずっと、記憶の中のパンは黒いままだった。 今、黒いパンはほんのり焦げた、たおやかな薄茶色に変わった。 「黒」から「薄茶色」への旅路を今ふたたび・・・。