• うしろ姿のしぐれて行くかー種田山頭火ー

初春の明仄・落陽

コロナ禍の鬱陶しい世情に心のふさぐ日々。
昨夕と今朝デッキに出て日没(下)と夜明け(上)を眺めた。
世の異変をよそに陽は沈み、日はまた昇る。

デッキの向こうに白い海苔棚が浮かぶ。
昨年、此処でノリを養殖している「塩田」の漁師さんから大量の「味付け海苔」を戴いた。
コロナ禍により学校の給食用に納めていた「味付け海苔」に余剰ができ、その「恩恵」に浴する事となった。
今年、目の前の海苔棚からの収穫が子供たちの舌に無事運ばれよう祈る。

小屋のデッキから日の出・日の入りに浸れるひと時を持てるのが嬉しい。
長い陽の夏、一時期を除いて朝な夕な定点観測ができる。
日の落ちる左側後方に淡路島の高峰・愉鶴羽山(ゆづるはさん・608m)を望める。
許されるならばこの春、愉鶴羽山に咲き乱れる桜を惜しみたい。
幾重にも重なる山脈(なみ)が黄昏に陰影を写し、里山の一日が終わる
あとひと月もすると春が来る。
 
 うららかな春は
 きびしい冬のあとからくる 
 かわいいふきのとうは
 霜の下で用意された
      (宮本 百合子)