私なりの「タチウオ釣り」をはじめて二年目のシーズンが終わった。
タチウオは初心者向きだと言われるが奥が深い。
その奥の深さにぶつかりシーズンが終わった。
来シーズンはこの壁を乗り越えるべく反省を込め、今シーズンの「タチウオ釣り」を振り返る。
昨年、本格的にタチウオを始めた。
タチウオの釣り方は大きく分けて三つある。
下、画像は釣具店で入手した「サーベリング・タチウオ仕掛いろいろ」。
私の釣り場は此処と決めている場所が2箇所ある(画像赤丸枠)。
此処以外でタチウオを釣りをしたことはないし今後もほかに移ることはしない。 工事が行われている場所を定位置と決めた理由は;
1.車を水際まで寄せられるので釣り道具を持ち歩かなくてすむ。
2.岸壁が整備されており、夜でも常夜灯が多くあり安全である。
3.「タチウオ」の釣り場は元フェリー岸壁なので水深がある。
4.平日は釣り人が少ない。
タチウオに限れば近くでもっと好釣り場が沢山あるが、上記の条件が満たされないので他にポイントを求める気はない。
この秋、画像に「公共岸壁」とある場所で40歳の男性が朝5時ごろ釣りをしていて海に転落し亡くなった痛ましい事故があった。
「なんであそこでそれも若い人が?」と思ような場所である。
11月も下旬になると私が釣っている場所にタチウオは全く寄りつかなくなった。ほかでは釣れてると聞くが食指が動かない。
此処で数は望めないが充分満足している。
今年仕掛けを「ワインド」から「ウキ」に戻したのはポイントが工事中も要因の一つだが技術的に「ワインド」についていけない、それだけのことである。
この齢でゲーム感覚で釣りを楽しんでいる若い人たちのやるワインドは合わない。
来年も「ウキ釣り」を楽しむ予定である。
そこで今年得た教訓を記し来年への期待としたい。
「ウキ釣り」でアタリを取る場合タチウオ任せの「向こう合わせ」。
すなわち、捕食がゆっくりしているタチウオは餌を咥えてもいちどに飲み込まない。少しずつ鳥がくちばしで餌をついばむような食べ方をする。その過程で餌を咥えたまゝ上下左右に動き出しウキが沈む。
充分に待って動かなくなったらやおら引き揚げる。しかし、その多くは釣りばりに掛からず餌だけ食われて終わる。
それでも餌の3割ほどアタリ、ゲット出来る。
シーズンも終わり近くになるとアタリの数もメッキリ減りアタッテもバレてしまう。
本来「タチウオの浮き釣り」は「向こう合わせ」でなく「こちら合わせ」、軽く合わせ(聞き合わせ)てグッと強く引いたところをすかさず大きく合わせる、このプロセスを私は省いていた。
タチウオが廻ってきてるあいだはよいが少なくなると。サッパリ。
そこで最近「聞き合わせ」の訓練をはじめた。
「聞き合わせ」をするにはタチウオとのやり取りで微少な動きに反応出来る竿がいる。
先調子で先端の径がが小さい竿が欲しい。
いずれにしても来年は工事中の岸壁も解除されているだろうから「タチウオのウキ釣り」が待ちどうしい。
以下に「大阪湾産タチウオの漁業生物学的研究 林 凱夫氏の研究論文の概要を掲載し、来シーズンの参考にしたい。
摘要 1965~1973年の水産統計と、1971~1973年までの漁況ききとり調査結果、およびこの期間に大阪湾で漁獲されたタチウオ1,450個体を用いて、大阪湾産タチウオの漁業生物学的研究を行った。
1) 大阪湾におけるタチウオの増加は1966年からその兆しがみられ、1967年には本種を対象としたひきなわ釣等の操業が開始された。1969年には漁獲量が1,000tを越え、1971年がピークで、2,179tとなり、その後1,000t前後でやや安定している。
2) 釣(ひきなわ釣、一本釣)による漁獲が50~85%を占め、その他船びき網、小型底びき網、小繰網、囲刺網、小型定置網等により漁獲されている。
3) 水温上昇期に紀伊水道方面から湾内に入ったタチウオは、外洋水とともに岸沿いに湾中部まで進み、この辺から湾奥系水の強い沖合、および湾奥へ分布する。水温下降期になると、湾奥系水にしたがって沖合を南下し、低水温期に入る前に湾外へ去る。
4) 湾内におけるタチウオの漁獲は、主に5~12月の水温15℃以上の時期である。水温の上昇および下降と、月別漁獲量の増減傾向に一致がみられる。水温10℃以下になると、ほとんど漁獲されないところから、10℃付近が生活水温の下限と考えられる。
5) 性比(雄/雌 ×100)は小型個体で大きく、大型個体となるにつれて小さくなる。平均76を示す。
6) 生殖腺熟度指数(GI=GW/AL3×108)は、季節を問わず大部分が50以下を示し、湾内ではほとんど産卵されない。
7) 湾南部海域で、7、8月に体長45~100mm、10~12月に体長20~70mmの幼・稚魚が出現しており、紀伊水道で春期およ秋季に発生したものと考えられる。
8) 確率紙を用いて分離した同一発生群の平均体長の推移、および幼・稚魚の出現時期などから、体長200mmに達するには、春期発生群(4~6月発生)でほぼ1年、夏・秋季発生群(8~10月発生)ではこれより2~6ヶ月長いと考えられる。 9) 耳石に輪紋(第1輪)の出現する時期は、春期発生群で発生後満1年を経過した4 ~7月、夏・秋期発生群で1年~1年4ヶ月を経過した10~2月である。いずれも体長 180mm以上の個体で出現している。
10) 春期発生群の5月上旬(体長160mm、体重69g)から10月中旬(160日経過後、体長280mm、体重365g)までの湾内における成長は次式で表わされる。Xは経過日数を示す。 体長 AL=1.76X0.831+160 体重 BW=2.72X0.936+69
11) 耳石径(l、mm)と体長との関係は、 l=0.016AL+1.27 で表わされる。 12) 体長と体重との関係は、 BW=3.33×10-5AL2.868 で表わされる。
13) 胃内容物調査の結果、軟体類、甲殻類、魚類等33種類の餌料動物が識別された。
14) 体長75mmまでの個体は動物性プランクトンを捕食し、76~175mmまではエビ、カニ類等甲殻類が主餌料で魚類も多少捕食され、176mm以上になると魚食性に移行する。
15) 体長200mm以上の個体の胃内容物組成(重量)は、6~10月の平均でカタクチイワシ71.0%、マイワシ15.4%、マアジ3.9%、マサバ3.6%、エビ類2.3%である。なお胃内容比(胃内容物重量/体重×100)は、平均1.74%であった。
16) 以上の結果から、湾内におけるタチウオ急増加の原因として、A近接海域(紀伊水道)に産卵場が形成された。B成長が早く、成熟に達する期間も満1年で、他の高欠捕食魚と比べて非常に短かい。C各成長段階に応じた餌料生物が豊富に存在する。D強大な競合種が他にいない。ことなどが考えられよう。
Fisheries Biology of the Ribbon Fish,(Trichiurus Iepturus LINNE)in the OSAKA Bay Yoshio Hayashi 大阪水試研報(5):99~115,1978 Bull.Osaka Pref.Fish.Exp.Stat.(5):99~115,1978 地方独立行政法人 大阪府水産試験場研究報告 第5号 2018年12月04日